From His Field Note : グリーンキーパーの野帳から

一季出版(株)発行 月刊ゴルフマネジメント誌連載中の –グリーンキーパー の野帳– のスピンオフと申しましょうか 補助線と称してあれこれと...

【 第136回の補助線 三本目 】 厭味な人も集えよ このコースに...

2018年 2月号 第136回 皆集えよ あの旗の下により...

 ―――― マムや姉様の仰る『良きゴルファーの集う良き倶楽部』って、もの凄く素敵な旗。あたし、その旗に殉ずる覚悟で、このコースを『素敵なゴルファーの集う素敵な倶楽部』にするために来たの、しーさん

 

 

...なんだよ、クローズてぇのに 随分とホールが賑やかじゃぁねぇか」
『しーさん コレ、お裾分けです。ハイボールでどうぞ』
「おっ、俺たちも ゴチに預かっちゃって良いの?ごちそうさまぁ」
 ―――― 昨夜来の降雪を受けてクローズの火曜日であります。どうせ積雪でクローズって判っているのに押しかけてきた 強面の伯父さん。お嬢が持ってきた“お試し”に 目を細めておられますがぁ...
「いいなぁ、なかなか良い雰囲気だ ...美味い、コレいけるぞ。コレ、本メニュー採用だろ」

◤ それはなによりで...

「それにしても、何ダヨあの“女の会”は?」
 あぁ、今日は積雪クローズなんで 緊急“女子会”だってことです、
「何が 女子会だよ ...女子てぇのは...」
 だ か らぁ、地声 大きいんだから。聞こえちゃってますよ、
「そぉだよ、女子会だよぉ …お前ぇ、何言ってンだよぉ」
 ―――― おいおい、一声大きくして 人にかずけてきたじゃぁねぇか

「で、なんだよ。あの“女子会”ってぇのは」
 この暮れから 松の内。ハウスにインフルエンザの猖獗があったんですがね。その時に 罹患しなかった連中が 休日返上で営業に当たったんです。それを取り返したりするのにも、今度の雪のクローズは ある意味で良い機会でしてねぇ…
「コース、開けるつもり無ぇのか?」
 いえいえ。カート道や作業道の除雪とか、パッティンググリーンやティインググラウンドに融雪剤撒いたりとか。営業の準備はぼちぼち、、、、とやっちゃぁおりますけんどね、
「とりあえず 一日くらいのクローズの延長は 算盤のウチ ...ってぇか。それにしても 姉様に マムに 寡婦のシェフに お嬢、ちぃまま、姐ぇやに フロントの嬢かよ ...本当にこのコースは 女の園だな。 ...それにしても 愉しそうだねぇ」
 クローズついでに、みんなで試作料理&雪見酒パーティの女子会だそうです。おっかなくって、とってもあたしにゃぁ近寄れませんですけんどもね、
 ―――― って、普段寡婦のシェフが お客さんのオーダーを受けて調理に勤しんでいるホールレストランのバイキングカウンターを囲んで随分と盛り上がっている うちの“女子会”の面面であります
 よろしかったら ご一緒なさってみちゃぁいかがです?
「ばかやろぉ、なんの厭味だよ」
 ―――― おいおい
『強面さん、しーさん。コレもお試し。姉様がスコットランドで召し上がってきたメニューの、ちぃままアレンジです』
「おぉ、ごちそうさま ごちそうさま。女子会の皆さんによろしくねぇ」
 ―――― 伯父さん、その愛想笑いの顔怖いよ ...てか、この伯父さんにすら 愛想笑いをさせる うちの“女子会”の迫力ってさぁ...

で、今日の御用向きは?
「おぉ、そうだった。すっかり“女子会”にやられちまってた」

◤ 随分と皮肉な響きですねぇ

「なんだ、お前ぇこそ 随分な皮肉を口にするようになったな」
 それは、聞く人の耳によると思いますけんどぉ、
「まぁ、いいか。それよかだ。来週から伐採入るぞ」
 へっ?来週ですか?
「おぉ、来週からだ。文句有るか?」
 異存は ございませんですけんどもぉ、
「で?どうなんだ?」
 ―――― やれやれ、うちには“主語抜き問いかけ病”が蔓延してぇるみたいですよ
「相変わらず 察しが悪いな。何番から入るんだ? ...てぇ聞いてるんだよ。ちゃんと伐らない木や 移植する木にテープ巻いてあるんだろうな?」
 相済みません、まだ やってませんです ...って、そんなおっかない顔しないで下さいよぉ。あたしもあれこれ、、、、って...
「忙しいって 言い訳か?なんなら 行くか?現場?これからぁ出張って 一緒にテープ巻いてくるか?」
『強面さん、こちらもお試しですぅ。マムのお気に入りを シェフがアレンジしました。ハイボールよりも こちらの青森の地酒の方がピッタリだそうですので、一緒にお持ちしましたのでお試し下さい』
「おぉ、ありがとうありがとう。“女子会”さんのおこころざし、ゆっくりと愉しませて戴きましょうよ」
 ―――― おいおい

定点観測 再開でしょうかw

雪の明日ですが 雲がちで...

「でぇ?」
 えぇと、五番のパッティンググリーンの新設現場の? ...伐採の件?
「違ぇよ ばぁか」
 ―――― なんで あたしのとこにはこんなら、、、、人ばっかしたかってくるのやら...
「なんだよ、この春にはめでたくご昇進の運びだそうじゃぁねぇか」
 って、どこのどなたにお聞きになった与太事やら...
「まぁ いいや。出世頭の理詰めのぉの薫陶宜しきを得てるってぇのは、めでたい限りだしな」
 すりゃ、どんな厭味ですかぇ?
「厭味?随分じゃぁねぇか」
 あぁ、そぉでした そぉでした。強面の伯父貴は、そんな小さいことにたらたら、、、、厭味垂れ流すような 小っさな男じゃぁありませんよねぇ、
「本当に 厭味なことを口にするようになったな、お前ぇもよぉ。大したお立場になったもんだなぁ」
 ―――― 伯父さん伯父さん ...なんか、厭味の堂堂巡になっていませんか?
『こちらは 姐ぇやの実家の煮付けをシェフがアレンジいたしました。ご一緒に召し上がって戴くのは 岩手の地酒ですぅ』
「おぉ、ありがとうありがとぉ。ご馳走になりましょうよ」
 ―――― はいはい、精精ご馳走になって下さいな
「しっかしよぉ、このコースはキーパーの気がきかねぇのはしょうもねぇけど。ハウスの嬢ちゃんから小母さん連中の気の効くことったらねぇな...」 
 ―――― だ か らぁ、地声が大きいから、その『小母さん』発言、“女子会”の面面に筒抜けですよぉ

 


A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_23 / closed today

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...