From His Field Note : グリーンキーパーの野帳から

一季出版(株)発行 月刊ゴルフマネジメント誌連載中の –グリーンキーパー の野帳– のスピンオフと申しましょうか 補助線と称してあれこれと...

【 第135回の補助線 十二本目- 】 人付き合いの面倒臭いのも『ゆく年来る年』



2018年 1月号 第135回
ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― まったく、便利のつもりで厄介の種を配ってしまったような…まぁいいか

 

 

...なんだその様子だと、センセイ 今おさんの目の前か?...なら そぉも云えねぇだろうから、ハイかイイエで応えろや。センセイあっちゃん 例の“にょろにょろ”の写真持ってるだろ』

◤ はぃ~

『ったくよぉ。それ、あっちゃんあっちのコースのキーパーに漏らしたの、おれじゃぁねぇぞ。タブ公タブ君ノート坊ノート君に『お年玉くれてやる』って Lineで送っただけだからな。まぁ漏らしたのは多分あっちゃんの信者のノートの方だからな。まぁ、長電話も恐縮ですから 失礼しますですよ。でわ はいちゃぁ~』
 ―――― 電話、ハイランダー高地のキーパーさんからでありました。言うことだけ言われて 切られましたぁ
「本当にさぁ、しーさん水臭いなぁ。勉強会やってるならやってるで、俺にも声かけてヨォ。どうせタブ君あたりから『あっちゃんさんは今 現場復帰して忙しい』とか 吹き込まれてんだぉ。遠慮しなくって良いからさぁ。俺としーさんの仲じゃないよぉ」
 ―――― でました 件の聞きとぉもないあっちゃんあっちのコースのキーパーの科白であります
「あのさぁ『キーパー仲間や かつての部下だった現役のキーパー。懇意の業者なんかと 不定期でも集まって 飯喰ったり酒呑んだりしながらワイワイやってるだけ...』って、そう云うのを 勉強会って云うんだよ しーさん。現に こんな珍しい写真をLineなんかで廻したりもしてるんでしょ?」
 ―――― 仰る『こんな珍しい写真』ってぇのは、先日 ハイランダー高地のキーパーさんが *1 312余所でも312のおっさんから送られてきたこの画でありまして...

芝生のニョロニョロ

何をどうしたら こんな風になるんでしょう?

「結局さぁ、解答はなんなの?芝が凍っているってのは判るんだけどさぁ。何をどうしたらこんなんになるのかさぁ。で、コレ。出元は あの312だって?相変わらず 胡散臭いよなぁ、アイツ」
 ―――― そう云えば このセンセイ、昔っから 何故だか 312のおっさんのことを毛嫌いしておりましたっけ
「何てンだろ、芝生ゴロってぇかさぁ」
 ―――― おいおい
「俺もあんまり 人の悪口は言いたかぁないけど。しーさんも、sibakuro塾の塾頭として あんなのを呼ばない方が良いよ。いや、しーさんのタメを思って言ってるんだよ」
 ですから、sibakuro塾なんて無いんですってば、
「だったら作っちゃいなよぉ。俺もチカラに慣れると思うよ ...てか、共同でさぁ…」

◤ いや、そう云うこと 興味ありませんので

「なんだよぉ、押し売りとかキャッチ遇ってンじゃぁないんだからさぁ。本当に素っ気ないなぁ」
 う~ん、そぃたらぁ ...ハイランダー高地のキーパーの大将に声かけてみてくださいよぉ。そも シーサイド濱沿いのキーパーさんとの集まりだって、あの人の発案ですし。今だって招集かけているのは あの人なんですからぁ、
「う~ん、ハイランダーさん?そぉなのぉ…」
 ―――― って、なんだその恨みがましい目つきは ...そぉいやぁ、ハイランダーの大将は この人あっちゃんのことを『ウザイ』『コスイ』って 切り捨てていましたっけ。そう云うのぉ うすうす感じてはいるんだろうなぁ... それにしても最近 本当にこう云うのが面倒臭くなっておりましてねぇ
「とりあえずしーさん、飯にしようよ。ここのコースの飯はさぁ、値段のわりに美味いんだよねぇ。しーさん付き合ってよぉ。俺にも積もる話もあるしさぁ。しーさんだって話したいこと一杯あるでしょ。俺にしか云えないようなグチとかさぁ」
 ―――― なんか 本当に面倒臭いなぁ

 

…で、奴さんあっちゃん、帰った?...さっきまで居た?長っ尻だったねぇ。飯まで一緒に喰った?なんだよ、流石に しーさんとあっちゃんの仲だねぇ』
 そぉ云うの、洒落になんないですよ。今日は小正月ですし、午前中でお引けのつもりでいたのに、結局一ン日いちんちになりそうなんですからぁ ...ですから 電話、もぉ切りますよ、
『かぁ~、つれねぇなぁ...
 ―――― なんだって 『俺りゃぁ 忙しいんだから』と嘯きながら また電話をかけてきた ハイランダー高地のキーパーの大将でありますが ...そんなに あっちゃんのご来訪が気になるのかや
...まぁいいや。それよか シーサイド濱沿いのキーパーのセンセイが俺らの勉強会のFaceBookページ?作ったんだってヨォ。もちろん、何てンだかシラネェけど、身内限定だってさぁ。今のところセンセイといっその①っちゃん にぃその②ちゃんと オレと。おさんの五人でな』
 あれ? タブ君とか ノート君は混ぜてあげないんですか?
『ダメ。アイツら混ぜると あっちのセンセイあっちゃんに機密が漏洩する恐れがある』
 良いじゃぁないですかぁ。ともにコースに棲むよな暮らしの者同士。情報でも愚知でも共有すればぁ、
『まぁ、そりゃぁそうだけどよぉ。 あのセンセイあっちゃん、何かって云うと 共有すべき情報をギッちゃぁ手前ぇ手柄にしちまうだろぉ。そぉ云うトコが、どぉにもなぁ ...あっ、今。面倒臭ぇなぁって、思ったろ』
 ―――― おいおい
『まぁいいや。早速この間の312の親爺の写真もアップされてるからよぉ。御前ぃさん にも センセイシーサイドさんからメッセ?で FaceBookページへの招待状だかが届いてると思うから 見てみろや。...あっ、そうか。グループ? 312余所でも312の親爺が入ってれば あっちのセンセイあっちゃん ヤツのこと嫌ってるから 魔除けの札くらいにはなるかもなぁ。そぉいえば 合宿は、どぉすんだよ?塾長さんヨォ・・・・・・

 ―――― やれやれ、こりゃ当分電話切って貰えそうにありません ...ってぇことで。件のFaceBookページには こんな写真も載っておりましたっけ

芝も松も氷付け

カッチカチの朝に...
 

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_15

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...

*1:余所でも312と云う人が かつて“二ちゃんねる 園芸版”で遊んでおりましたっけ : http://d.hatena.ne.jp/yosodemo312/searchdiary?word=%2a%5b%bb%cf%a4%e1%a4%cb%5d

【 野帳の補助線 -第135回の 十一本目- 】 寒さに凍えながら あれだこれだの『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― まぁ今までもさぁ。ハウスでも指定場所以外は禁煙だったけどさぁ。ついに全面禁煙ゼンメンだもんなぁ」
「でも、最近の流れかもしれないけどさぁ。ゴルフ場でもゼンメンってアリ?最近割引とか飯付きのプランも無いし、かえって売り上げ落としちゃうンじゃぁないの」
「酒タバコとニギリって、ゴルフの三大ダンディズムじゃぁないの?」

 

 

...あっ、今 おれのことぉ、邪魔に思ったろ」
 そんなことぉ 思っちゃぁおりませんですよ、
「思った、いや絶対におれのこと邪魔に思ってた」

◤ はいはい、思ってましたよぉ

「ほら見ろ、図星だったんだな。遠路はるばる来てやった仲間に対して、ソレは無ぇンじゃぁねぇのぉ?しーさんてば 芝生の冷血漢?」
 どんなに大きな間違いを犯したとしても、あぁたにしーさん呼ばれたくないわ、
「だって あのカウンターの、ちぃままサン?早速『しーさん』なんて呼ばせてんだろ。今日は金髪のツンデレちゃはお休み?ツンデレちゃんの居ないことを良いことに、この 色魔」
 大概にしなさいってば・・・

「それにしてもヨォ、この間八日 月曜日の雨さぁ。マヂで助かったヨォ」
 ―――― まだ時分時お昼には少しく間のある頃合いのレストラン。いかにも美味そうに 大ジョッキのビールを飲み干すハイランダー高地のキーパーさんでありますがぁ
「…なんだよ おさんも呑んでくれよぉ。なんだっておればっかし煽ってぇたら ふうが悪いじゃぁねぇのぉ ...でな。なんせ、五十ミリもっとの降水量だったろ。あれが雪だったらって思うと 本当にぞっとするわ」
 その分 冷え込みがきつくってねぇ。うちでもパッティンググリーンもティインググラウンドもかちこち、、、、ですよ、
「あれ、ティーマーカーとか お客さんのティペグとか刺さってる?」
 まぁ ティペグなんかは、ティボーラーなんかで 何とかなっていますけど。ティマーカーは ...冬の間だけ刺さないで良い、置くだけのやんやつにしようかてぇ思っちゃうくらい ...あぁたハイランダーさんのところなんかは それどころじゃぁありませんでしょ?
「まぁ うちの連中はね。冬のカップ切りホールカップの切り替えの時に ぎっくり腰やらかした病歴労災が 一人前の第一歩みたいなもんだしなぁ。あれ、ティなんかはさ。タコティっての?あの置くタイプのをフロントで配ったりもしてぇるけどさ。毎朝のシート剥ぎの時に ドリルで五・六カ所揉んでやって、マーカーでチョチョッと印してやっておいてんだ」
 ほぉ ...でも、ティペグなんて ポキポキ折れちゃいません?
「そこはまぁ、お客さんも無理矢理折れたティの横に捩じ込んだりね。タフなもんだよ」
 わはは、お客さんが『刺さんねぇ』とか喚きながら、いじましくねじねじ、、、、してぇる様が目に浮かびますねぇ ...どうせなら ラヂペンラジオペンチでも配置して、折れて残った先っちょ、、、、を摘まんで抜けるようにしてみたらどうです?
「いや、そのアイディアは もぉウチの若い衆わかいしからも出てきたから やってみたんだけどさぁ。ギッて持ってかれちゃうのは想定の範囲内だから、ティボーラーに 細いワイヤーで括り付けておいたんだけどな。トンマなお客からの『意味使い方がわかんない』とか、実際『霜が凍り付いちゃって 使えない』とか『握ったら冷たい』とか、クレームばっかりでうんざりしてぇるトコさぁ」
 ―――― あれまぁ
「それよか ...だなぁ」

◤ まだ 寒さネタありますか?

御前ぇさんsibakuro電動工具とか買うなら “ホムセンホームセンターもの”は ダメだぞ」
 はぁ?今更なんでです?
「ホムセンの安いのはさぁ、いくら“プロ用”を謳ってぇても 所詮は“ホムセンもの”だ。本気で凍ったティには刃向かえないし、第一寒すぎて バッテリーが働かなくなっちまう」
 すりゃ スキー場なんかで スマホが使えなくなるようなもんですか?
「ソレだソレだ」
 放送の現場なんかだと、人間は凍え死にしそうになっても 機材に使い捨てカイロを貼り付けてバッテリーを保護してぇるって聞いたことがありますけれど、
「それだそれ。なんせ寒すぎるから、なまかぁ安物が まともに働ける環境じゃぁねぇんだ。おれンちでも カイロだよカイロ。ちゃんとした金物屋で買ってきたメーカーもののドリルや 穴揉んだ後の目印のスプレー缶にも、メーカーものの使い捨てカイロをベタベタ貼り付けてな ...ただ 現場から『仕事がしづらい』って声が有ってさぁ。今度は 発泡スチロールの箱に、カイロとドリルとスプレー缶を放り込んでって作戦だわ。まぁ、こうしてさぁ。ろくに売り上げも無ぇのに、地味に経費が嵩んでぇくんだけどなぁ」
 すりゃ 頭の痛い問題ですねぇ...
「おぉ、寒すぎて頭が痛くなるくらい ...知ってッか?ロシアなんかの あの毛皮のモフモフした帽子。あれさぁ、あのくらいのモノぉ被ってねぇと、頭の血管切れちゃうんだってな、寒さで。なにはとまれ、うちコース課の連中なんかに防寒グッズを語らせたら そんじょそこらのお宅にゃぁ負けねぇだけの知識と経験と 出費があるぜ」
 ―――― それって自慢になるのかいな

「そういやさ」
 ―――― まぁだ あるんかぃなぁ
うちコース課のサブ。アイツが今朝『ここ二三日 始動する時、バッテリーの様子が怪しかったんだけど、今朝になったらセルは廻っても エンジン飛び込んでくれないんですよぉ』って電話して来てさぁ。寒さで トドメさされちゃったみたいなんだよ。まぁ アイツも熱心な奴だから 出社は夜明け前、退社も夕暮れのトボトボ時 ...一年日がさら いつでもライト着けて暖房や冷房全開だろ。バッテリーに負担もかかるわなぁ。アイツ、若いころは相当に鳴らした走り屋だったみたいだけど、今はもぉすっかり丸ぁるくなっちゃって『車なんか 無難に走ってくれれば良いんです』なんて言ってたのによぉ。今では 走行十五万キロ超の 腐れた軽だろ。自業自得さえ。んで、野中の一軒家の 親の実家の独り住まいで、助けを求められるご近所さんも無し ってぇか、そもそも そんな時間じゃぁねぇし。JAFに電話しても『回線が混雑していて』全然繋がんねぇ ...で、おれは今日休みのつもりで 昨日のうちに段取り打ち合わせておいたんだけどさぁ。しょうがねぇ、朝廻りと朝の会朝礼やりに顔出してさ。夜明けを待って馴染みの車屋に電話してたたき起こして バッテリー交換して出社してきたアイツと交代してきたってぇ、今朝のちょっとした小芝居だったわけだ」
 すりゃぁ、サブさんもご愁傷様でしたがぁ...
「アレだって。今、北陸とか 日本海側の大雪のアオリで、全国のJAFの電話 全然繋がらなくなっちゃってるって話らしいぜぇ」
 ―――― なんとまぁ...

 

「それからなぁ...」
 まぁだ ありますかぁ?
「これ、この写真だ」

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 なんだこりゃぁ?
「な、面白れぇだろ?」
 こりゃぁ なんなんだぁ? ...あぁ? もしかして、また312のおやじ、、、たれこみご提供ですか?
「ご明察だけど ...まぁこの話は また改めてゆっくりな。迎えの車が着ちまったみたいだ。おっちゃん、もう少し遊んできたって良いのにヨォ」
 迎えの車って、あぁたハイランダーさん随分なご出世ですねぇ、
「厭味か?買い出しにでた工場のおっちゃんが迂回して廻ってきてくれるだけだよぉ。ところによっちゃぁ まだ松の内だしさぁ。ウチなんかの、はなが咲いてからの 短い夏の間に集約的に管理するコースは、寄り道とか 早お昼とか 早仕舞いとか。キーパーは今日もお出かけで留守にしてぇるし、段取りもゆるいし ...とかさ。この時期くらいは 連中も羽根伸ばさしてやンないとだろ。じゃぁ またな...」
 ―――― って、あぁたの我が儘につき合わせてるだけじゃないんですか? ...ってもね。まぁまぁ せめてこの時期くらいは あぁたものんびりして下さいな

 

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_12

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...

【 野帳の補助線 -第135回の 十本目- 】 毒舌にうんざりするのも『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― あれ?ちぃまま、大丈夫?今し方ホールレストランから『ちぃちゃん、ヘルプ!』ってコール入っていたけど、
「えっ?ホントォ? …んもぉ、あたしのボッコちゃん無線機たら、また電源落ちてるじゃない。しーさん、秒速でヘルプ入るからって返しといてっ!コジュッケしゃん、今のお話し。是非ご検討ヨロシクオネガイですゥ…

 

 …よし。まぁ精精、ちぃままの後塵を拝しながら精進しろ。もぉ良し。そこに居られると日当たりと風通しが悪くなる。って宜しい」
 ―――― やれやれ

 

 

『おぉ~い、ちょっとこぉ~い』
 ぅへぇ~い、
 ―――― 大晦日にインフルエンザでダウンしてから 松の内を布団の中で過ごしたコジュッケさん、やうやうのご復帰。かつ 早早のお呼び出しでありますがぁ…

◤ 長のお勤め お疲れ様でした

「無駄な与太は止してくれ。まだあちこち怠くて仕方がないわ。ッたく、正月早早に酷い目に遭った。平素 お前のような独活の大木の相手をしているのが、余程にこの身に応えていると見えてなぁ」
 すりゃぁ 相済みませんことで、
「で、どうなんだ ...ぃや、インフルエンザの感染の塩梅はどうだ」
 彼此あれこれのご心配はお察ししますが、もう一ン日いちんち二日、お休みになっては如何ですか?
「俺のことはいいから、話は手短に済まさせろ」
 端的に申し上げて、土曜の午後にお嬢とシェフシェフを帰らせてからは、体調の不良を訴えるものもいないようで ...あ、
「なんだ?」
 コースコース課の植木畑のおぃちゃんが熱があるってんで、休んでおりますがぁ。これは多分飲み過ぎで出てこられない言い訳だと思われます、
「はぁ、わかった」
 ―――― 小父さん 年も年なんだから、本当に今日は帰った方が良いんじゃぁないのかえ?とまれ、暮れに洗い場の小母ちゃんの発症から始まったインフルエンザ騒動も やうやう収束の緒のようであります。全然実感のない『成人の日八日の月曜日』を無理繰りで何とか営業いたしまして、昨日火曜は休業日。ちぃままや姐ぇやにも休みを取って貰いまして、再始動の水曜日であります...
「とりあえず俺は溜まった仕事を ざっと流してから ...てか、お前は大丈夫なのか?」
 あたしはぁ …大丈夫みたいですよ、今のところですが。まぁ、このインフルエンザ騒ぎでずっとハウスでしたから、コースの仕事が全然できちゃぁおりませんが」
「まぁ、クリスマスこの方。やれ年越しだ 忘年会だ、お屠蘇だってアルコール漬けだからな。流石に 生きたアルコール標本にゃぁ ウィルスも寄生できなかったとみえるな」
 ―――― 小父さん、捻りが足りませんです

...で、俺りゃぁ インターの脇のレストランの方もあるからな。直にそっちにも行かにゃぁならんのだが ...お前、明日も出社か?」

◤ まぁ 熱が出なければですがぁ...

「無駄な与太は要らんと言っておろうが ...なら良し。明日の午後、打ち合わせがあるから開けとけ。熱も出すな」
 ―――― おぃおぃ
「本当は ここコース のレストランのつもりだったが、チーフがインフルじゃぁしょうがない。インターの脇のレストランでのパワーランチにした」
 えぇ、あたしもいろいろとぉ…
「忙しかったり 仕事が溜まっているなら 寝ないで働け。それから きちんと髭も当たって 薄くなった頭も梳かしとけ」
 ―――― 小父さん 身体の怠いのに自棄でもおこしたか、言いたい放題だな
 でぇ、お題の方は?
「少しは察しろ。この春からのゴルフ場とレストランとホテルの経営についてだろ。他に何がある?三つの施設の 総支配人の小っさいお姉さんマムと、アドバイザーの大きなお姉さん姉様に 事務長の俺。レストランの副支配人と ホテルの副支配人に異動の あの唐変木副支配人。ゴルフ場からは お前と、ちぃ子ちぃままだ」
 ―――― ぅわぁ~、熱が出そうだ...
「明日になってから『熱が出ました』なんて仮病を使うなよ」
 ―――― おっと 疾うにお見通しかい
「それと、オーナーの爺様に二代目次男坊も出席だそうだ。どうだ 今から熱が上がりそうだろ?ざまぁみろ」
 ―――― やれやれ
「まぁ そういうことだ。とりあえずアレコレ聞き質したいこともあるんだが 優先順位はまだ低い。今日はもうね」
『しーさん、ツルトロさんがお呼びですぅ』
「ほれ、熱が出ないように おっさんにハイボールでも奢って貰って アルコール消毒でもしてこい」
 あぁ、いや。鉄は熱いうちにの故事でもありませんが、一点だけ、
「何だ?与太言を聞いている暇はないぞ」
 ―――― 早くも帳簿に落としていた眼を ちろり、、、あげてみせた その眼光鋭きよ...
「何だ?早く言え」
 今回の騒ぎを受けてしみじみ思いましたが、今年の秋口から 社の費用でもって インフルエンザの予防注射を アルバイトさんにまで実施したらどうかと思いましてね...
「あぁ、それなら 疾うにちぃ子ちぃままから受けてるわ。妊婦がインフルエンザに感染した時のハイリスクの件とかまで含めてな。『零細とは云え、接客業として 不特定多数の顧客の集まる施設を運営している企業としての、社会的な責任の一端を果たす為の費用。コストではなく ベネフィット』...だったかな?どこに突っ込んだか、提案書まで書いて持ってきおったわ。また 見つけたら読ませてやる。ッたく、どこまでちぃ子ちぃままの後塵を拝しながら歩むつもりなんだか ...もぉ 良し。今度こそ不可逆的且つ速やかに ね」
 ―――― やれやれ

 

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_10

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...

【 野帳の補助線 -第135回の 九本目- 】 親バカちゃんりんも 『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― うちも今、カミさんや娘から『パートさんやバイトさん確保にも、絶対に有利になる』って、強烈プッシュでね。だったら試しに来年から駅前支店の方をゼンメン全面禁煙にしてみようかって、ただいま計画中なんだよねぇ

 

 

 

『しーさん、マスターが手が空いたらで良いから 席まで来てくれってさぁ』
 へぃへぃ、直に一段落するから 伺いましょうよ、
『ホールのバタバタも一段落だし、暫くははちぃ子ちぃままと二人で回せるからさぁ。しーさん 店長と一杯やってきてよ』
 ―――― やれやれ 姐ぇや、それでも労ってくれているつもりかいな

◤ あれれ?

「へぇ~、そんなのが隠し味だったんスねぇ。ソレ、ウチの店でもやらせて貰って良いスかぁ?」
「良いわよぉ。美味しいと思ったり お客さんに喜んで貰えると思ったら、ドンドン真似して頂戴」
「サンキュウ~ですぅ。他にもなんか ないスか?ちょっとした隠し味とか裏技みたいの…
「だったら、ホラ。こっち、カウンターの中に入って見ていっても良いのよぉ」
「えぇ~ 超サンクスですぅ~」
 ―――― ホールに設けられた、元バイキングカウンターで調理中の ちぃままの手元を覗き込んで盛り上がってるお嬢さんて?

 

「悪いね、しーさん。忙しいところをさぁ」
 いえいえ、ホールもちょうど一段落のようですから、
「それにしても何着ても似合うねぇ。コースコース課の菜っ葉服から ハウスを徘徊する時のブレザー姿。今日は 洗い場のエプロンと長靴姿?」
 茶化さないで下さいってば、
「はぃ、しーさん。ちぃ子ちぃままから のど湿しだって。マスター、これは ちぃままのオリジナルの“お試し”だそうです」
「おっ、ゴチになりましょうよ ...タマネギと厚切りベーコンのホイル焼き?」
「ニンニクを漬け込んだオリーブオイルや お酢に漬け込んだ生の赤唐辛子なんかが隠し味 ...あとは企業秘密です。お好みで チリペッパーとか粉チーズでもお楽しみ戴けます。まだ焼きたてでアツアツですから お気をつけてお召し上がり下さい」
「へぇ~ フライパンに載せたまま 、ジュゥジュゥいわしながらテーブルに持ってきたかぁ。流石ちぃさまちぃまま、多芸だねぇ」
 ―――― さて 暮れからのインフルエンザ騒ぎなんですが、昨日の夕方には お嬢と寡婦のシェフにも飛び火しましてね。今日は二人とも無理矢理休ませた次第。本当は公休だった姐ぇやに出勤して貰って ホールの担当を。ちぃままがカウンターで調理して、あたしが洗い場。ピークには フロント件総務の嬢もホールに投入してって段取りの、年改まって最初の日曜日でありますや

「それにしても、お嬢もヤモちゃん寡婦のシェフもインフルでダウンなんて、しーさんもいよいよアブネェ~のと違う? ヒッヒッヒッ」
 ぃゃ、正味の話が 姐ぇやも ちぃままも除夜の鐘は一緒にすごしたそうなんで、あっちの二人の方が心配でんす、
姐ぇやも ちぃままも?しーさん なおヤバイじゃん、ケッケッケッ」
 ―――― やれやれ
「でも、インフルの潜伏期間て、一ン日いちんちか二日でしょ。一頭最初の洗い場の小母ちゃんから もう一週間以上たってるじゃない」
 いや、ググってみたんですが 感染してから発症するまでに 一週間から十日くらいの間のあった症例もあるそうですよ、
「そしたら、なおさら しーさんもアブネェなぁ。くっくっくっ...」
 ―――― 大概にしなさいってば
「それにしても、しーさん 暮れも 大分前から休み無しじゃぁないの?」
 まぁ、小正月を過ぎたら お休みの一つもいただきましょうか、

◤ そはそれとしてぇ...

 お呼びの御用向きは? ...ってぇか 今日はコースにはお出にならないんで?
「あぁ、カミさんと 上と真ん中の娘の三人で廻らせて貰ってるよ。俺が一緒だと そぉじゃないコレジャナイって 口はさんでくるから ゴルフが愉しくなくなっちゃうって敬遠されてるし。アレが ゴルフなんか全然興味がないんだけど、ここのコースのFacebookページのコメント欄で絶賛されてるヤモちゃん寡婦のシェフの“お正月のお奨め”と福島の地酒の組み合わせを『チョォ~ 食べたい』ってぇからさぁ…
 ―――― 名うての教え魔のマスターの『アレ』ってぇのは、先ほどの カウンターで調理中のちぃままの手元を覗き込んで『ちょぉ~ スゲェっす』とかはしゃいでいた あのお嬢さんだそうですが...
…子守ついでに 留守番だヨォ。天気も良いのになぁ~ もったいねぇなぁ~ ...ついでに、そろそろ ヤニ切れてきたなぁ~」
 そぃたらぁ、駐車場の大使館に一時避難されてきたら如何ですか?
「ダメなんだよ、ウチの車。俺の移動用のポンコツ軽自動車以外ゼンメン全面禁煙なんだ」
 ―――― すりゃ ご愁傷様

「まぁ いいや。実はさぁ。アレなんだけど…
 ―――― 『アレ』ってぇのは、マスターの末娘さんですよぉ
…今年 高校卒業て、春から 調理の専門学校に通うんだけどさ。本人も 料理とか接客好きで、今までも 店の方も手伝ったりして お客さんからも可愛がって貰ってたんだけどね。如何にしても 家族経営の居酒屋に居るだけじゃぁ、親の俺たちが幾ら厳しくしたって 世間が狭くなっちゃうだけじゃぁない」
 ―――― いや、可愛くってしょうが無いってぇのが 見え見えですよぉ
 まぁ、それでしたら お知り合いのお店とか、ファミレスとかに行かせてあげるのもぉ...
「それがさぁ、アレって 俺たちも年取ってからの娘じゃん。カミさんも 上の二人も猫ッ可愛がりでさぁ」
 ―――― 自分が一番囲っておきたいくせに、いない人のせいにしてんのも見え見えですよぉ
「でさぁ。しーさんのトコで、ちょっと世間の風に吹かしてやってくンねぇかなぁと思ってね。ここだったら、カミさんや 上の二人も安心だろうし。まさかに、俺の娘だって廻りに知れ渡ってぇたら しーさんだってそうそう“悪さ”もできねぇだろうし」
 ―――― おぃ、ちょとまて
「まぁ、学校に通うついで、、、の小遣稼ぎなら ウチの店でもできるんだけどさぁ。学校の合間に ここに通わしてもらうだけでもさぁ。ここで マムの話を直に聞いたり、ちぃままやお嬢の接客を見たりすることって、アレにとって 学校に行くよりも良い勉強だと思うんだよね」
 まぁ、そうまで仰って戴けるとぉ...
「ね、キーパーの魔の手も 未然にブロックできるでしょ」
 ―――― おぉっ、大概 聞き捨てならねぇ...
「はいっ、お待たせしましたぁ。お飲み物のお代わりと ちぃ子ちぃまサンのお奨め第二段お持ちしましたよぉ」
 ―――― なんだとぉ?
「あれ? なんで?なんでお前が エプロンなんかしてサービスしてるの?」
「だって、ホール忙しそうだしぃ。今日はちぃ子ちぃままサンにいろいろ教えて貰ったから、ちょっとお手伝いして お礼しようかなぁ ってぇ~」
「はぁ?そぉ云う話だったら 俺が今 、しーさんにだなぁ…
 ―――― いきなりエプロン着けて トレーにお酒と料理を載せて運んできた マスターのところの末娘でありましてぇ
「そぃから パパァ。アタシぃ、ちぃ子ちぃままサンのショ~カイって事でぇ。マムの出張が終わったら ココのバイトの面接受けるからぁ。なんかさぁ、ココって チョー愉しそうなんだもん」
 ―――― バイキングカウンターのちぃままが、些かならぬ当惑のいろで手を振っておりますがぁ...
「って ことで、しーちゃん?しータン?影の副支配人サン?これからよろしくお願いしますッすぅ」
末女っちゃ~、五番さんテーブルの下げ、頼んで良いぃ~?」
「姐ぇさん 了解しましたッすぅ」
 ―――― 公園で滑り台に駆け出す子供の如に愉しげな 居酒屋のマスター店長末女すえむすめでありましてぇ...
「おいっ、ちょっと待て。なんだその、今からの『しータン』てのわぁ~」
「コラァ 末女っちゃ~、ホールで走るなぁ~」
「すンませン、姐ぇさぁ~ン・・・・・・
 ―――― やれやれ、今年は本当に賑やかになりそうだ...

 

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_07

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...

【 野帳の補助線 -第135回の 八本目- 】 あちこちのキーパーさんとも『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― ありゃぁまさしく、苦労が磨いた珠だろうな。それにしても、うちの独活の大木sibakuro唐変木副支配人にも。うちの男共には、少しく苦労が足りんのと違うかな?
 

...で、聞いたが小っさなお姉さんマムもインフルにやられたってんだな』
 はぃ~
『で、他の奴らは大丈夫なのか?』

◤ それなんですがぁ

『どうした?』
 昨日の夕方から 副支配人さんの様子がおかしかったんで、大事をとって先ほど帰って貰いました。一晩様子を見て、駄目そうだったら 明日の土曜日は出てきてくれるなと お願いしてあります。まぁ、営業の方は 私が朝からこっちハウス に詰める段取りで進めておりますし。とりあえずうちコース課の連中は大丈夫ですから、ランチランチタイムの方は、いざとなったら 昨日同様に姐ぇやを投入しますし。配車室には 兄ぃには明日は髭当たって髪の毛も櫛通して出社して貰っておいて、いざとなったらヘルプに入って貰おうと...
『おい、違うだろ ....げほげほげほほ』
 へっ? ...大丈夫ですよ。あの人 マスター室の経験もありますし
『大丈夫じゃぁないだろ。小っさいお姉さんマム唐変木副支配人も出社できない今。否が応でもお前が頭とって指揮せにゃぁならん時に、言うに事欠いて「うちコース課」なんてぬかしやがっ…げほげほっ ゴホゴホゴホ …ぅえぇっへっへっ...』
―――― ったく、この調子で毎日電話での確認とお説教を欠かさない、暮れからインフルエンザでお休み中の『チョットコイ』の事務長のコジュッケさんでありますや
 あのぉ、こちらは現員を遣り繰りして何とかしますんで、是非にも お気を沈めてお休み下さいまし...
「…おほっ、げへげへげへへへ… そうだな。お前と話をしてぇて 按配が悪くなる一方だ。じゃぁ 後はくれぐれも頼んだぞ」
 それから、用事がありましたら 携帯電話の方にかけていただけると事務所まで来る手間が省けますが...
『どぉせ、松の内。おまけに俺もマムも 副支配人もいないからって 朝からお客と呑んだくれてるんだろ。少しは杯を休める時間を拵えてやってるんだ、少しは有り難く思わんか ...げほっごほっ ...切るぞ』
 ―――― やれやれ

 

...おぉ、随分と長電話だったじゃぁねぇか」
「いや、この人sibakuroも、あぁたハイランダーさんに長電話を咎められたくは無いと思いますよ」
 ―――― お昼時の №10ホールに面したテーブルには、件の高地のコースコース課のキーパーのハイランダーさんと、濱沿いのコースのキーパーの シーサイドさん
「まぁ、座った座った」
 う~ん、配車とか 洗い場は大丈夫かなぁ
「お嬢さん、キーパーも来たし。お酒と料理お願いね」
 ―――― 聞いちゃぁいないよ この人ぁ
「それにしても 正月五日の、この寒い日にしては 良くお客さん入っている方じゃぁないですか?」

◤ まぁまぁ お陰様で...

「なぁ、sibakuroンちの 九ホールのくせによぉ。うち18ホールより入ってンじゃぁねぇの?」
「まぁ、あぁたハイランダーさんのトコは 寒すぎですよぉ。正直云って、営業している方が不思議だよ」
「本当にさぁ、うちハイランドは冷蔵庫どころか冷凍庫並みだからなぁ ...てかさぁ。寒いことは寒いでしょうがねぇんだけどさぁ。雪 降らねぇんだよなぁ。暮れのいつだっけ。バラバラッと来て 一瞬グリーンが白くなったくらいでさぁ
 そぉいえば、そうかもしれませんねぇ、
「これさぁ、またやられるかも知ンねぇぞ。今年は『成人の日の呪い』が発動する年かもしんねぇ」
 あぁ、ありそうですねぇ
「なんですか?その、『成人の日の呪い』ってのは?」
「晴れの特異日って有るじゃん?十月十日の体育の日」
「いや、体育の日はもぉ十月十日と限った話じゃぁ有りませんでしょう」
「そりゃぁ 馬鹿な官僚どもの浅知恵だ ...ってぇのは、また別のお噺でさぁ。『成人の日の呪い』ってぇのは、この日に大雪が降ったことが 過去何度有ったことか、思い出してみなよ」
「あぁ、そう云えば ...うちシーサイドでも雪が積もったのって、成人の日の頃だったかなぁ ...そうだったような気もしますねぇ」
「だろ、今年あたり また来るかもしんねぇぞ。『成人の日の 呪いの大雪』がさぁ ...嫌だなぁ」
「雪慣れしたあぁた でも、雪の作業は嫌ですか?」
 だってねぇ、除雪なんて やったからどうってぇ仕事でもありませんでしょう。それだったら颱風のあとのバンカーの世話なんかの方が、まだ『この際だから 随分と砂が落ちてしだら、、、の無くなっていた“擦り付け”のところにきっちり砂上げて びしっ、、、とさせてやろう』とか、発展的な気持ちになれますでしょ。でも雪かきなんて...
「融雪剤に金使って、現場二人工送り出して。雪掻いて 解かしたってよぉ。なんにもコースが良くなるてぇモンじゃぁねぇだろ。下手すりゃ グリーンもティも そこもかしこも傷だらけにしちまって、まいた墨汁で 芝は迷彩柄になっちまって。で、無理矢理開けて ドンダケのお客が入って どんだけのアガリがあるんだかさぁ」
「あぁ ...確かにそうかもしれませんねぇ」
「ハウスの方もさぁ、一遍そのあたり算盤弾いてみてくれねぇかなぁ。現場に突っ込む 融雪剤だの燃料費だの 人件費だのと、それをやって金庫に入ってくる売り上げの足し引きとかさぁ ...あっ、済みませんね。この人sibakuro と俺とお酒追加で」
「かしこまりました。すぐにお持ちしますね」
「いやぁ、チーフに伝えてよ。この福島の地酒と“お正月のお奨め”本当に美味いしいってさぁ。それと、お昼時の忙しい時に済まないねぇ。キーパー座らせちゃってさぁ」
「ありがとうございます。お褒めいただけると シェフも喜びます。それと、キーパーは大丈夫ですから。むしろ キーパーには座っていてくれた方が 私たちも… でもキーパーは、飲み過ぎ注意ですよぉ。もぉ暮れからずっとなんですからぁ~」
 ―――― 足取りも軽やかにパントリーに向かう ちぃままさんでありましてぇ
「今の 新顔さん? ...配車室の補充で? ...良いスタッフとれたなぁ」
「でもまぁ、お客さんがコースでのプレーだけで無くて、あぁ云う気の効いたスタッフとの会話とか 和やかなハウスの雰囲気まで愉しみに来ているとしたら、雪かきにかかる諸諸の費用と その結果のアガリが見合わなくても。苦労する甲斐はあるのかも知れませんねぇ」
「うぅ~ん、そう云われちゃうとさぁ。うちハウスはお高くとまっちゃってるってぇか、あんまりフレンドリーじゃぁないしなぁ...」
「うちもねぇ ...なんか名門意識が強いって云うか。変な意味でお客さん選んじゃったり、一見さんやビジターさん ビギナーさんに冷たかったりねぇ...」
「そこに居ない人の悪口で盛り上がったりして、アイツら仲が良いんだか悪いんだか...」
「そのくせ 何か新しい提案があると、一致団結して『デキマセン』だし...」
「出る杭は全力でタタキにかかるし...」
 ―――― やれやれ 皆さん苦労が絶えないようですが
『しーさん マムからお電話入ってますヨォ。「どうせ朝からお客さんと呑んでるだろうから、少しグラスから手を放すように事務所の固定電話にかけた」って』
 ―――― やれやれ..
「なんだよ、また長電話か?手早く頼むよ。この春の前に合宿やらねぇとだ。その相談もしねぇとだからな」
 ―――― おいおい.

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_05

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...

【 野帳の補助線 -第135回の 七本目- 】 春永の感冒騒ぎも『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― ありゃぁまさしく、苦労が磨いた珠だろうな。それにしても、うちの独活の大木sibakuro唐変木副支配人にも。うちの男共には、少しく苦労が足りんのと違うかな?
 

『しーさん、姉様からお電話ですよぉ~』
 はいはい、すぐに行きますよぉ...
 ―――― って、姉様の電話って どこの国からで、時差は何時間なのやら

◤ はいはい、お待たせを ... そちらのお国でも あけましておめでとう存じます?

...はぃ~ 洗い場の小母ちゃんに続いて 事務長コジュッケさんが暮れにやられまして。昨日 女将マムもダウンしました ...はい。まぁ今のところそれらしい症状を訴えているのは他に居りませんで ...はい。とりあえずは三が日は無事に越すこともできましたし。今度の土日には、小母ちゃんも復帰できるでしょうし。今日は 急遽姐ぇやもホールレストランのヘルプに入れて なんとかまわしておりますんで ...はい、はいはい、ではでは。引き続きの御旅のご無事をぉ」
『しーさん、ホールに理詰めさんがお越しですぅ』
 ―――― なんだとぉ?

...どうも お待たせを。ぁいゃ あけましておめでとう存じます。今年も相変わらずのご指導とご鞭撻をを戴けますよう お願いを申し上げます、
「忙しいようだが、まぁ座れ。改めておめでとう。今年も 精進されるよう願っている」
 ―――― うーん、やっぱり硬い人だなぁ。目の前のぎょろ目の小父さんは、かつてあたしの師匠の総べて居られたコースの 総支配人と管理部長も兼任しておられる 兄弟子の一人。理詰めの叔父御であります
「マムと姉様にご挨拶を差し上げようかと思ったんだが、お二人とも出張中か」
 はぃ~ 姉様はクリスマスから年明けは恒例の 外国のお友達とのご交流の旅の真っ最中なんですが、女将マムはねぇ ...ここだけの話。インフルエンザで今日から一週間は出社停止とあいなりましてぇ。罹患したのが 暮れから女将で三人目なんですよぉ、
「ふむ。少人数で高い機動力を活かして廻している会社だ。そう云う時にはピンチになるが。そこが『タダのキーパーで終わってほしくない sibakuroさん』の腕の見せ所だな」
 ―――― もしかして、さっきの姉様からの電話、聞いておられました?
「で、お前。酒臭いな」
 はぁ、面目次第もありません。松の内は 朝から夕方までお馴染みさんとのお屠蘇続きでしてねぇ、
「お前に面目なんてものがあるのかどうかは知らん。だがまぁ それがこのコースでのお前の営業スタイルというのならな。異論を鋏むつもりも無い。だが しかしだ。ハウスにかまけてコースを疎かにする様なことの無いようにな。お前はあくまでグリーンキーパーだと云うことを忘れるな。それとだ...」

◤ まだありますかぁ?

「来期の予算や指針書ができたら メールで良いから送ってくれ。ウチの若いキーパーに読ませて 考える縁にさせてやりたいと思ってな」
 考える縁だなんて、なんか面映ゆいですねぇ、
「誰も 今期のモノよりは良いモノができているだろうなんて言ってない。あくまで“考える縁”だ。反面教師、他山の石もって玉をおさむべし ...と云う諺もある」
 すりゃ 恐れ入りまして... で 今日の御用向きはその件で?
「いや、今日は飯を喰いに来た。ここのチーフの正月の特別メニューにも興味があるしな。しかし、正月も四日で お客の入りも一段落かと思っていたが、そこそこの入りのようだな。なによりだ」
 お陰様でねぇ。お天気も続いておりますんで、ありがたい限りです、
「ちょうど飯の時間だが、付き合う暇はあるか?」
 ―――― それは 付き合えと仰っているんですね
「お嬢さん、私にお代わりと キーパーにも同じものを。それと チーフのお奨めを見繕って お願いします」
 すりゃ ごち、、になって ...ってぇか、さっきから結構な勢いで呑んでおられますけど 宜しいんで?
「さっき うちの料理長とキーパーがコースにでたところだ。上がってきたら紹介しよう。帰りのハンドルは 負けた方に握らせるから大丈夫だ。」
 ―――― おぉ~い
「で、今年の春にはグリーンの新設工事と聞いてるが?」
 はぃ~ 五番のパッティンググリーンが 三十ヤードくらい後びっ去りあとびさりしましてね。その他にも レディースティの新設や改修なんかも何ホールか、
「ふむ、なかなか充実した仕事をしているようだな」
 お陰様であっちもこっちも、、、、、、、、でしてねぇ、
「お客さんに酒を奢って貰っている時間をもう少し何とかすれば、キーパーの仕事をする時間も稼げるだろ」
「お待たせしました。こちらのお酒はシェフからのお試し。福島の、シェフのお母様の実家筋の 小さな蔵の 無名の地酒ですが。あの3.11の地震からの立て直しで ずっとずっと頑張って来て、去年の秋にやっと出荷できるまでになった 自慢の辛口です。この後すぐにお持ちする“松の内のお奨め”にもピッタリのマリアージュです。是非 併せてお試しいただいて、ご感想をお聞かせ下さい ...しーさんは 飲み過ぎないようにねっ」
 はぃ~
 ―――― って、給仕する姿も 蒲鉾みたいに板についている姐ぇやでありますが、ちら、、と睨んでいったその目のおっかないことぉ~
「うむ。これは良い酒だ。これなら“お奨め”も楽しみだな ...それに 今のウエイトレスの口上も良い。見ない顔だったが 新規採用か?」
 いえいえ、普段はうちコース課の現場なんですが、今日は人が足らないんで 臨時のヘルプでんす、
「なるほど いいな、そう云う機動的な対応ができるのは」
 まぁ、本人は『客あしらいはもう懲り懲り』って コースに来たんですけれどもねぇ...ってか、昔は コースの草むしりの小母ちゃんが 手が足りない時にはキャディをやっていたりもしましたでしょ、
「そう云えばなぁ ...しかし古い話だ。まだ 強面や辛口や、兄ぃなんかとわぁわぁ、、、、と賑やかに親爺の下で駆けずり回っていた頃の話だな。昭和も遠くなりにけり ...って奴か?」
『姐ぇや、しーさんのテーブルのお奨め もぉ直上がるって』
『了解ぁ~ぃ。アタシ行くから、ちぃ子ちぃまま七番さんお願ぁ~い』
「あれも見ない顔だ」
 ありゃぁ この秋に採用した ...一応は配車室の退職の補充なんですけど。これがとんでもない大当たりで、あっという間に 縦横無尽になっちゃいましたですねぇ、
「まったくここは女の城だな。まぁ それも悪くは無い。まぁ 呑め。それにしても 良い正月だな...

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_04

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...

【 野帳の補助線 -第135回の 六本目- 】 お屠蘇の勢いも『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― お前も『単なる芝職人で終わらない』キーパーなら、ちゃんとやってみせてくれれば良いだけの話だ…無駄口は要らん。それからだ。この間の『グリーンキーパーってのは、何を管理しているのか解っているのか?』って宿題。まだ提出がないぞ?
 

『しーさん、ツルトロさんと くらちゃんさんが上がってお出でです』
 はいはい、すぐにお伺いいたしましょ...
 ―――― って、正月 二日のホールレストランにお伺い

◤ あけましておめでとう存じます

「おっ、キーパー おめでとう。今年もヨロシク
「しーさん おめでとう、今年もよろしくお願いしますよ」
 いえいえ こちらこそ昨年に増してのご贔屓様をお願いいたしましてぇ... スタッフにお年玉もいただいたそうで、ありがとうございます
「お嬢、しーさんにハイボール。ウンと濃い目の奴お願い ...まぁまぁ、座ってよ しーさぁん」
「...って、いつからお前『しーさん』になったのよ」
「へっへっへっ、いつの間にか『俺としーさんの仲』になっちゃったんですよねぇ」
 ―――― 年明け早早に 嫌なフレーズ聞いちゃったぃ
「 ...いやぁ、それにしても良いお正月だね キーパー」
「本当、ここ暫く穏やかなお天気で 最高だよね」
 で、お二人とも お正月早早のお越しは有り難いんですがぁ ...ホームのコースさんから叱られませんかぁ?
「何言ってンのキーパー。俺りゃぁ とっくにここがホームだってば。本当は昨日来て一番の挨拶をしたかったんだけど、ちょっとややこしい付き合いもあって 仕方なくさぁ」
「そうそう、おれもツルツルトロさんに頼んで、今度ここのメンバーになるからさぁ。あちこち義理のあるコースもあるけど、おれの中じゃぁ 今年からここがホームだからね、しーさん」
 ―――― すりゃぁ ありがたいお話しではありますけれどもぉ
「それにしても、しーさん。いつ来てもコースのどこかに居るよねぇ。うちの ...いや、おれが通ってたコースのキーパーなんか『休みは休みですから』って、台風が来たって雪が降ったって『休みは休みですから』なんだぜ」
 まぁ、平成の御代の幕引きの段取りも始まってはおられますけれどもねぇ。あたしみたいな 昭和のキーパーの生き残りは、お天道様のお出ましと お引き取り。この身でもって拝んでの暮らしをいただいて居りませんと、どうにも ねぇ...
「働き方改革とか、一向無縁な商売って云いたいの? しーさん」
「なに言ってンだよぉ。この人は 幾つものコースでキーパーやってきたけど、ドコでもそうなんだよ。コースに棲み着いちゃうんだ。マグロだかカツオだか、泳いでいないと死んじゃうみたいに、この人 コースの空気を吸ってないと死んじゃうんだ」

◤ あのですねぇ~

「要するに、この人は 仕事でやってるんじゃぁなくって。コースに居ることが 暮らしの一部なんだよ。後は 酒呑んで酔っ払って寝てられたらそれでハッピーなんだから」
 ―――― それもまた 随分な申し様じゃぁねぇか
「あっ、ツルトロさん くらちゃんサン。あけましておめでとうございますぅ。今年もご贔屓様にお願いします」
「おっ、ちぃちゃん。今年もヨロシク」
「どぉ?このコースは ちぃちゃん。しーさんのセクハラとか大丈夫?」
 ―――― おい ちょと待て
「あはっ、全っ然 ダイジョォ~ブですよぉ。むしろ もっと積極的に迫ってきて欲しいくらいですぅ♡」
 ―――― おいっ、ちょ と ま て
「いやぁ、ちぃちゃんも愉しそうだねぇ。なんかさぁ。去年くらいからかなぁ。ここのコースのスタッフの顔つきがさぁ。変わってきてるんだよね」
「それ、やっぱアレですか?マムとか姉様の薫陶よろしき?確かに あの二人のカリスマ半端無いですしねぇ。いやぁ、このコース もっと良くなりそうだ。ちぃちゃんも良いコースに巡り会えたよなぁ ...済みませんね、ちょっと 用足し...]
「大丈夫か あいつくらちゃんさん?お屠蘇で酔っ払っちゃってないか? ...ってぇか、キーパー。マムや姉様のカリスマもあるけどさぁ。キーパーも頑張ってるよね。ちぃちゃんもだけど、キーパーも良いコースに棲み着くことができたンじゃないの?」
 まぁ、お陰様でてぇましょうかぁ...
「俺もさぁ、お屠蘇の勢いで言っちゃうけど。俺、お前さんのこと応援してんだよ、誰よりもさぁ。俺と お前さんで、このコースを『良きゴルファーの集う 良き倶楽部』にしてきたいんだよ。可笑しいだろ、新年早早に 青臭くってさぁ」
 それを仰るなら、あたしもいただいたお屠蘇濃い目のハイボールの勢いで申しますけれども。仰ることに 毫末の異存もございません。あたしもね、このコースを『みなさんのThird Place』にできるようにと念じております。それが あたしの『良きゴルファーの集う 良き倶楽部』のイメージなんです、
「随分と長いこと 御前さんと付き合ってきたけど ...初めて 御前さんの本気の本音を聞かせて貰った様な気がするなぁ」
 まぁ、一陽来復ってんですか?あたしも随分と長いこと 暗がりを彷徨ってきましたけれどもね。お陰様で、ようやっと、、、、、に そればかりのことを口にできる様になりました... 「それを聞かせて貰えただけで、良い正月だよ、キーパー」
 あぁでも 他のどなたかのお耳に届いて もぅうすらこっ恥ずかしいばかりのお話しです。ここだけの話ってぇ奴で、是非にもお忘れ下さいまし、
「忘れるモンかよ。一緒に 良い倶楽部にしようよ キーパー」
「あぁ、さっぱりした。さぁて そろそろ午後のラウンドだけど ...?なんか おれの居ない間に二人で盛り上がってました?」
「あははは、お屠蘇の勢いで 与太話をしてぇただけさぁ...

◤ A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_01_02