【 第136回の補助線 十本目 】 ヒトがヒマだと思っている皆さんも集えよ このコースに...
2018年 2月号 第136回 皆集えよ あの旗の下に より...
―――― これ、二人とも“良きゴルファーの集う良き倶楽部”の『良きゴルファーとは』『良き倶楽部とは』についての明確なイメージができていないまんま、頭の中でどんなサービスをしようかって考えて書いているからじゃぁないの?
『しーさん ツルトロさんとマスターがお呼びです』
はいはい、直にお伺いいたしましょう、
―――― って、ちょと風はありますが なんだか体感的には、久しぶりに暖かく感ぜられる二月最初の日曜日
「キーパー、こっちこっち」
―――― 件の十番を見遣る 端っこのテーブルで ツルトロさんと 居酒屋の店長が手招きしておられまして...
◤ ぁぃゃ まいどのお運びで ありがとう存じます...
てか、お二人でいらっしゃるのも お珍しかぁありませんか?
「キーパー、時間は大丈夫だよね。日曜の昼なんだし、ハイボールで良いよね ...まっちゃん。キーパーにもハイボール ・・・この人は 特別濃い目だよ」
『はいっ、承知しておりますぅ』
―――― おぃっ、まっちゃ
「良い子だねぇ。店長の躾が良いンだねぇ」
「イヤイヤ、本当にさぁ。末っ子で我が儘に育てちゃったから、とんだ こまっしゃくれでさぁ」
「そぉかい?ハキハキしていて、キビキビ働く 良い子じゃないかぁ」
「いやぁ、ココでだけだヨォ」
―――― って あぁた。可愛くってしようがない末娘を褒められたからって、そこまででれでれしちゃって どぉすんですか
「お待たせしました。特別濃い目のハイボールと ...こちらは シェフからのお試し。細身のバゲットのガーリックトーストです。バゲットは地元のパン屋さんの特注品で、サラミは地元の肉屋さんの手作り。オリーブオイルは シェフが青森産のニンニクを漬け込んだものを使っております。ミルの黒胡椒をお好みで挽いてお召し上がり下さい。あ... もちろん皆さんでどうぞぉ」
「おっ、俺たちの分もあるの?いつもありがとうって、シェフに伝えてね。今度、ウチのソームの娘が見つけてきた 美味しいショコラケーキを差し入れするからねって」
「えぇ~、マヂッすかぁ。ソレ、日曜日にお願いしますぅ。アタシ 日曜だったらだいたい バイトきてますンでぇ」
「これっ、もぉ 化けの皮が...」
「あっ ヤバイ ...ごゆっくりドォゾォ~」
『まっちゃぁ 八番さんのオーダー伺って』
『はぁ~ぃ』
「...ったくもぉ、ケーキくらいで 地金晒すなってぇの ・・・あっ、ツルトロさん。このガーリックトーストいけますよ」
「うん、良い味だなぁ。キーパー、これ本メニュー入りさせようよ」
「いやぁ、焼きたて最高じゃないですかぁ ...これ、ウチの店でも出したいなぁ。 アレがレシピ教わってるだろうから聞いてみようかなぁ。良いよね?キーパー」
どぉぞどぉぞ、
「それにしても、良い子だねぇ」
「だ か らぁ やめてよぉ、ツルトロさんてばさぁ。末っ子で甘やかして育てたから とんだ跳ねっ返りでさぁ...」
―――― やれやれ
◤ でぇ お二方で今日の御用向きは...
「いやさぁ。店長さんが 娘がキーパーの毒牙にかかっていないか 心配でしょうがないから、一緒に見に行ってくれってって云うからさぁ」
「ちょっ、待ってよ ツルトロさんてば ...キーパー、何か言ってやってよぉ」
―――― いや あたしにもそぉとしか ..てか。何が『キーパーの毒牙』だよ、ツルトロのおっさんよ...
「いや、でも 正味の話が。キーパーに世話してもらって良かったよ。実際 あれ、ウチの店の手伝いなんかさせてもさぁ。廻りは『店長の娘だから』で、本気で仕込んでくれないじゃん。かと云って 家族が言ったって、本人 屁の河童でしょ。キツく言われりゃぁ ブンむくれて プイって居なくなっちまう。...それがさ、ここにお世話になった初日の宵に、涙目で店の厨房に入ってきたと思ったらさぁ。物も申さず その辺の揚げ物やら丼飯やら 腹に詰め込んで、後は厨房から 客席の方、じっと見てやがったの・・・」
―――― すりゃぁ まっちゃ。アルバイトの初日が終わったところで ちぃままから『お客様に親しく接するのと、馴れ馴れしかったり 分を辨えていないのはとは まったく別だと云うことを理解できないのなら。その“別”が辨えられないのなら、あなた。お客様の前には金輪際出させません』って、そりゃぁ きついのを一発もらって、面持ち蒼白のまま 送迎バスに乗って帰っていったんですねぇ...
「あぁ、こりゃぁ 続かねぇかなぁ。表に出して 世間様の風に吹かれてみるのも良い勉強だと思ってたけど、いきなり寒風乾しみたいになっちゃったかなぁ~ ってさぁ。カミさんとも、キーパーのトコに詫び入れに行かなきゃかなぁなんてことも話したんだけどね ・・・でもまぁ、次の日曜も普通に出かけてったからさぁ。もぉしばらく様子見てみるかって...」
―――― いや、あたしも続かないかと思いましたけんど。次の日曜日の朝。予定より一本早い送迎バスに乗ってきたと思ったら、ちぃままや 寡婦の主婦に『改めて ヨロシクお願いしますッ』って 最敬礼のまっちゃでありましたっけ
「ふぅ~ん。根性あるじゃないよ。さすが、店長の娘だねぇ」
「だから、オダテたって ナンにも出ないよツルトロさぁ~ん。ハイボールの濃い目 俺のオゴリで、どぉ?キーパーも、特別濃い目で?」
―――― だめだこりゃ
「で さぁ。第一日曜の今日って 旧研修会の月イチの常会でしょ。アイツら最近、随分とチョづいてるみたいじゃん?」
―――― はいはい、モクモク会さん発足とか、ツルトロさんがよそのコースのメンバーさんを連れてきては 一緒になって遊んでいることやらをとらえて『分派』だの『分裂』だのって、好き放題を仰っていることですね
「いや、だからって 俺と店長で偵察に来たりとかじゃぁないよ、キーパー。今日はあくまで、来週のウチ主催の月例会の打ち合わせとかさぁ」
「そぉそぉ。そろそろ春の対抗戦だって どぉしよぉかなぁって時期だし...」
―――― そぉっすか そぉっすかぁ~
「それに店長が、アルバイトに来ている末娘のことが心配でしょうが無いって...」
「そぉそぉ、本当は俺も外に出したくないのになぁ~ に言わせるんだよ、ツルトロさぁん。んもぉ、キーパー 何か言ってやってヨォ」
―――― はぁい はいはい
「いやぁ、それにしても お客さん減っちゃったとはいえ、今日営業できるとは思わなかったねぇ キーパー」
いや まったくねぇ、
―――― 日だまりのプラクティスグリーン。最終のお客さんの“出待ち”をしている兄ぃであります
「昨日なんかも融雪剤撒かなくって済んだしさぁ。昨日の散布の剤 一回分 浮かせて、今日はちゃんと営業のアガリもあって。アリガタイアリガタイ」
いや 本当。ありがたい限りですねぇ ...じゃぁ、すいませんけど この後お願いしますね...
「はいはい、しかしキーパーも 相変わらずの“お忙氏”だねぇ」
本当にあっちもこっちもでねぇ...
―――― って 誰だよ、電話してくるのは
『おぉ、ナンだよ。今日から営業できてるんだって?ったくよぉ、ウチなんか この間の雪も融けないうちに、その上に三十センチもっと載っかっちまってよぉ。ヒマか? 塾長。ちょっと合宿の相談にこれから行くからよぉ。レストランの湯湧かしたまんまで待っててくれよ。いや メニューはお任せで良いからよぉ ...『じゃぁ』って、そぉつれなくするなよ、実は俺りゃぁ もぉすぐそこまで来てンだ。ちょっと遅いけど昼飯付き合ってくれヨォ 大将ぉ。折角 根雪の危機に怯えてる高いところのコースから下りてきたんだからヨォ・・・
『しーさん、フロントにハイランダーさまがお見えですぅ。アポはとってあるからって仰ってますがぁ...』
―――― やれやれ
A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2018_02_04 / Warm today?
そを人は 虚実の皮肉と云ふさうな...