From His Field Note : グリーンキーパーの野帳から

一季出版(株)発行 月刊ゴルフマネジメント誌連載中の –グリーンキーパー の野帳– のスピンオフと申しましょうか 補助線と称してあれこれと...

【 野帳の補助線 -第135回の 二本目- 】 チョットコイも『ゆく年来る年』

2018年 1月号 第135回 ヤニ喰い共の『ゆく年来る年』より...

 ―――― だよねぇ『良きゴルファーの集う良き倶楽部』ってぇの?確かにコースやハウスも良くなってるしさぁ

 

 

…しっかし、あぁ云うことをやらせると 性格が見えてくるってか。思いもよらぬ面が見えちゃったりもするもんだねぇ」

◤ まぁ そこが人間の凸凹の面白いところてぇか...

しんねりみっちり、、、、、、、、やりそうなボクちゃんが 結構どころでもない雑な仕事で、バタバタがたがたウロウロまごまごのカケル君が 早いし上手いし丁寧な仕事してんだもん。本当に面白いよなぁ」
 ―――― 昼下がりの発展場パッテンであります。お天気も良くて グリーンも緩んでいるんで、お客さんの合間に入って転圧でもして貰おうかってぇ段取りの兄ぃと 待機中の四方山話であります
「ボクちゃんなんか、オレが午後から転圧にでるって聞いて『良いなぁ、外に出れて良いなぁ~』って。昼飯喰いながらグチグチグチグチ。昼寝しながら寝言でも『良いなぁ~ 良いなぁ~』ってさぁ」
 ―――― おい 兄ぃ、すりゃ 話盛りすぎだろぉ ...とまれ 暮れの仕事でティーマーカーの洗浄と塗装なんかもしておりますが、同じオタク系でもコードプログラム書かせるときっちりきっちり、、、、、、、、のボクちゃんが案外どころでない 雑っ端ざつっぱな仕事ぶり。普段から落ち着きの無い、お前は大人のADHD多動症か?ってなくらいのカケル君が、実に丁寧な プロ並みの吹きつけをしてくれていると...
「聞いたらさぁ、アイツカケル君 ふぃぎゅあ? ってぇの?あの、アニメの主人公がこぉんな妙てけれん、、、、、な格好してる人形なんかあるじゃない。アレの塗装なんかの世界じゃぁそれなりに名前売ってるらしいよ。宅配の仕事辞めたのも、仕事がきつかったこともあるけど それにかける時間が無くなっちゃうからってのもあるみたいでさぁ。まだそれで飯が食えるってぇレベルでもないけど、生来はそっちの方も視野に入ってるみたいだよ」
 ―――― よしよし。あいつもこの人兄ぃには そんな話をするようにもなったんだな

「そういえばさぁ、前に居たコースに 元設備屋がいてさ。電気水道から 結構複雑なな木工とか溶接とかまで、上手かったンだよね。本当に重宝してたんだけど 難が三つあってねぇ」
 良くある話ですねぇ。あたしにも覚えがありますや、
「やっぱり? ...この人がさぁ、仕事ができるんだけど 石橋を叩いて壊しちゃうくらいの慎重派でね。とにかく時間がかかるの。仕事に。おまけに極度の道具マニアで、修繕の材料を買いにホームセンターとか伝票の効く金物屋なんかに行かせると、プロじゃ無いんだから そんな道具まで揃えるこたぁねぇだろって、キーパーが呆れちゃうような余計な道具まで買って来ちゃうのよ。で、極めつけは...」
 芝の仕事になると、覿面に雑でいい加減だったんでしょ?
「キーパー、ご明察。もしかして、いた?キーパーのトコにも」

◤ いたんですよぉねぇ

「何処にでも居るんだねぇ」
 どこのコースにも居るんですよ。そう云う『芝の仕事は 本業の他。ついでのお手伝いですから適当に...』みたいな人、
人手が足んないからって ラフ刈りのギャングなんか引っ張らせるとさぁ、斜面の そんな高いトコまで無理矢理登らなくって良いからってぇところまで 勢いと弾みで登らせて、タイヤの跡つけて 虎刈りにしちゃってさぁ。ヤード表示の灌木は薙ぎ倒すわ、ギャングの刃が枝噛んでロックしたのに気が着かないで フェアウエイの廻り一周しちゃって 引き摺り疵一周廻しちゃうわ。そんで 平然と嘯くの。『形あるものはいつかは壊れる』『芝は傷がついても 自分で直してくれるから大丈夫』ってさぁ。もぉ キーパー、泣くに泣ききれなくってさぁ」
 はいはい、いますよねぇ、
「アレじゃぁやってもらわねぇ方が良かった ...みたいな?」
『配車室から コース課さぁん、お疲れ様ですぅ。今スタートの三十六号のカートで午後のスタート、一段落ですヨォ。夕方のお客さんまで 多分一時間くらいの空きができますぅ。夕方のお客さんのスタート前にまたコール入れますんで、よろしくですぅ』
 ―――― って ちぃままからのお知らせコール
「じゃぁ、そろそろ出かけますわ キーパー。どうせ待ち待ちになるだろうから、ティマークの移動とカップ切りもやっつけられちゃうと思うよ」
 いや そうしてくれると助かりますわぁ、
「てか、ナンカしてないと。三連の乗用に座ってるだけじゃぁ寒くてやってらんないっしょ」
『そうそう、しーしゃんしーしゃん 手が空いたら配車室までお願ぁ~い♡』
 ―――― やれやれ また“♡”かいな ...てか 無線で噛んだらしーしゃん 全社的に筒抜けじゃん
 ぁいよぉ~ これから行こうかぁ?
『sibakuroぉ~ その前にこっちに ちょっとこぉ~い』
 ―――― やれやれ 最近はコジュッケさんの『チョットコイ』も 無線機経由になっちゃいました

 

「で、どうなんだ」
 ですから 主語をお願いします、
「お前も 本当に察しの悪いやつだな。今年幾つになった? ...与太ぁな返事は要らん。どうせ無駄に年を重ねてきただけだろ」
 ―――― やれやれ もぉ散散だ
「で、どうなんだ?」
 で す か らぁ、あたしのような凡庸な人間には 主語が無いとお答えのしようが あ り ま せ ん で す、
「はぁ~ これが ちぃままだったら、阿吽だろうになぁ。もぉよし。行って良し ...いつまでそこに突っ立ってるつもりだ?お前のような独活の大木に居られたら 日当たりと風通しが悪くなるばっかしだ。疾うにね」
 ―――― へいへい。今日は小父さん、御機嫌斜めもラージヒルスキーのジャンプ台でありますから、早早に退散いたしましょう
「おぉぃ、待ぁ~て。本当に背中向けるバカがあるか。そこに椅子を持ってきて 座って話を聞け。ちょと来年は忙しいぞ」
 ―――― やれやれ コイツは長くなりそうだ。ちぃまま ごめん。そっちに行けるまで ちょっと時間がかかりそうだよ......

 

A Golf Courase Maintenance Fable
Another Time Another Course
...From His Field Note 2017_12_19

そを人は 虚実の皮肉嘘と真の綱渡りと云ふさうな...